「Webデザイナーの仕事ってなくなるの?」
Webデザイナーの仕事は、すぐになくなるわけではありません。
AIの進化により単なる「作業」は代替される一方、ビジネスの成果を見据えて「設計」できる人材の需要はむしろ高まっています。この記事ではWebデザイナーの仕事がなくなると言われる背景や市場の動向を解説。
「仕事がなくなる?」と不安になったときは、「いま市場の中で自分がどこに立っているのか」を整理しましょう。現在地が見えれば、進む方向も見えてきますよ。
Webデザイナーの仕事がなくなるってほんと?
結論から言うと、Webデザイナーの仕事が一気になくなる可能性は高くありません。ただし、これまでと同じやり方のままで、全員が残り続けるわけではないのが現状です。
実際、AIやノーコードの普及によって、バナー作成や簡単なページ制作などは、以前より短時間で完結するようになっています。そのため、「仕事が減った」「単価が下がった」と感じやすいのも無理はありません。
一方で「優秀なWebデザイナーの採用に約8割の企業が苦戦している」という株式会社日本デザインの調査もあります。

出典:PR TIMES「【IT人材の採用に注力している企業の経営者に調査】約8割が、優秀な「Webデザイナー」の採用に苦戦 8割以上が、「シェアリング人材の活用」を検討」
作業をこなす役割は減っているが、目的を整理し、成果につなげる役割は残っていくと切り分けて考えましょう。
そのうえで、いまの市場の中で自分がどの役割に立っているのかが判断の土台になります。それが見えないままでは、スキル選択もキャリア判断も難しくなります。
Webデザイナーの仕事がなくなる不安の正体
市場の変化を把握できていない
不安が強くなる大きな理由は、膨大な情報に振り回され、変化を「一面的な脅威」としてしか見られていないからです。「AIで誰でも作れる」「Webデザイナーはやめとけ」といった極端な言葉を鵜呑みにしていませんか?
市場の変化を多角的に見ると、全く別の景色が見えてきます。
たとえば「AIでデザイン生成ができる」と聞くと、「仕事が奪われるのでは」と不安になりがちですが、視点を変えれば効率化によって受注できる案件数が増えるメリットも。さらに、目的整理や改善提案など考える過程に時間をかけられるため、クオリティを上げることにつながります。

変化は恐怖ではなく、デザイナーの役割の重心が作業から設計・思考へ移っていることを示すサインです。
変化を構造として捉えられるようになると、不安は漠然とした恐怖ではなく、向き合える課題に変わりますよ。
どんなキャリアを目指せばいいかわからない
ゴールが見えないままマラソンを走り続けるのが不可能なように、どんなキャリアを目指すかわからない状態で仕事を始めても不安が大きくなってしまいます。多くのWebデザイナーがキャリア迷子になってしまうのは、「市場の需要(稼げるか)」と「自分の適性(できるか)」を同時に考えてしまっているからです。
一度に多くの判断基準を混ぜると、脳は処理しきれずにフリーズしてしまいます。
- 将来性:「これからはUI/UXデザインが稼げるらしい……」
- 現状のスキル:「でも、自分はバナー制作の経験しかないし……」
- AIへの恐怖:「バナー制作はAIに奪われるって聞くから、今のままじゃダメだ……」
このように、需要・スキル・AIの影響をすべて一度に解決しようとするから、進むべき道が見えなくなってしまうのです。不安を解消するコツは、考える順番を固定すること。まずは自分を横に置き、今の市場で生き残れる役割に選択肢を絞り込みましょう。
市場(需要)→役割(選択肢)→自分(適性)の順番で考えることで、判断はぐっとシンプルになりますよ。
Webデザイナーの仕事はなくなると言われる背景
手軽にサイト作成できるツールが増えた
WixやSTUDIOなどのノーコードツールを使えば、専門知識がなくてもサイトをつくれるツールが増えてきました。そのため、Webデザイナーに依頼せず、自社で制作を完結させる企業も増加。

テンプレートを使ってただ作るだけなら、プロにお金と時間をかける必要がなくなってきているのです。
ただし、こうしたツールで作ったサイトはどこかで見たような、似たようなデザインになりがちです。見た目は整っていても、導線がわかりにくく、ユーザーが迷うサイトも少なくありません。
そこで価値が見出されるのが「使いやすく設計できるか」や「成果や目的につながるか」まで考えられるWebデザイナーです。なんのためのサイトなのか、どう使われるのかを考える役割まで不要になったわけではありません。
素人でも使えるデザインツールの普及
CanvaやFigmaなどの普及によって、Webデザイナーでなくても一定水準のバナーや資料を作れるようになりました。テンプレートや自動補正が整っているため、最低限きれいなデザインであれば短時間で形にできます。
そのため「デザインは見た目を整えること」と認識しているWebデザイナーは、仕事がなくなりやすくなります。デザインツールの進化により、プロのWebデザイナーに求められる価値は、見た目そのものから「なぜこのデザインなのか」根拠を持って制作することへ移っているからです。
目的や意図がなく、ただきれいでおしゃれなデザインであればプロに頼むまでもないのが現状。Webデザイナーとして生き残っていくなら、その一歩先の成果につながるデザインを意識的に作れるかが鍵となります。
Figmaによる制作過程の共有
制作の途中過程や考え方を共有できるので「どんな意図で構成を組み、どこを調整しながら形にしたのか」をクライアント側が判断しやすくなります。「このデザインがなにを解決しようとしているのか」が伝わるため、価格やスピードだけで比較されにくくなり、設計や思考そのものが評価されやすくなっています。
AIで簡単にデザインができるようになった
画像生成AIの登場で、作業型のWebデザイナーの仕事はほぼ完結できるようになり、ゼロからデザインを作るスピードとコストは以前と比べて大きく変わりました。
たとえば次のような作業は、すでにAIで代替できています。
- 画像生成
- レイアウト案作成
- 色調整
- 画像の切り抜き
- 背景透過
- サイズ変更
- 余白の調整
- 写真補正
- フォント選定
- チェック作業
- ワイヤーフレーム作成
このようにAIができることは正解があるもの、判断基準が明確なものという特徴があります。一方、AIには苦手なこともあります。それは「なぜこのデザインなのか」という目的を考えることや、クライアントの事業や想いを汲み取ること。
これらを元にAIが出した案が「目的に合っているか」を判断することは、AI自身にはできません。AIに指示を出し、目的に合う案を選び直せるWebデザイナーは依然として必要とされています。
AIによってなくなるのは仕事ではなく、判断を伴わない作業だけなんです。
SNSに注力する企業が増えた
今の時代、多くの人はSNSで商品を見つけ、そこから直接買い物や予約をします。以前のように「まずは公式サイトをじっくり見る」という人が減っているのです。
そのため、どれだけ凝ったきれいな公式サイトだけを作っても、SNSから導線を作らないとそもそも見られないケースが増えています。
だからこそ、Webサイト単体ではなく、SNSやマーケティングと連動した設計が求められます。

Webデザイナーに求められるのは、点ではなく全体の流れを考える視点です。
SNS運用やマーケティングの知識を持っている人や、自分でできなくても全体をディレクションしてチーム運用ができる人は企業にとって貴重な人材となります。
SNSに注力する企業が増えた=デザインの仕事がなくなるわけではありません。SNSやマーケティングの知識があるデザイナーは、企業にとって非常に価値が高い存在です。
Webデザイナーになる人が増えた
オンラインスクールやSNSの影響で、Webデザインを学ぶ人は増えています。厚生労働省 job tagによると、令和6年の有効求人倍率は全国で0.12倍。ひとつの求人を8〜9人で奪い合っているような状態です。実際にクラウドソーシングサイトでも、1案件に多くの応募が集まっています。
ただし、実情は作業レイヤーの人が多く、課題整理や改善提案までできる人は多くありません。参入者が増えたことで、「デザインを作れるだけの人」が目立つようになりました。ライバルが増えたことは事実ですが、一方で一人ひとりの成果につなげるスキルの違いがよりはっきり見えるようになったともいえます。
これを危機と考えるかチャンスと考えるかはあなた次第。多くの参入者が「作業」で止まっている今だからこそ、ビジネスの課題を解決できる「プロ」としての視点を持つだけで、あなたの価値は一気に高まりますよ。
活躍し続けるWebデザイナーが持つスキル
UX/UIデザインスキル
UX/UIデザインスキルは、見た目ではなく「使いやすさ」や「納得感」を設計する力として、今後も評価されやすいスキルです。ツールの進化によって、きれいな画面を作ること自体のハードルは下がりました。

その一方で、「使いにくい」「途中で離脱される」といった課題は、デザインだけでは解決しません。
UX/UIデザインでは「ユーザーがどこで迷うのか」「どこで不安になるのか」を想定しながら構造を考えます。この役割は、AIやテンプレートだけでは判断しきれない部分です。
実際、厚生労働省 job tagによるとUX/UIデザイナーの平均年収は約570万円前後とされ、一般的なWeb制作職よりやや高めの水準にあります。また、全国の有効求人倍率が約4.73倍と高く、人材は安定して求められています。
UX/UIデザインは、作業ではなく「どう使われるか」を考える役割です。ユーザー満足度や成果に直結するため、環境が変わっても必要とされやすいスキルだと言えるでしょう。将来的には、プロダクトデザイナーやUXリサーチャーなど、キャリアが広がる可能性も多いにあります。
マーケティングスキル
マーケティングスキルは「誰に・なにを・どう伝えるか」を設計するビジネスの根幹を支えるスキルです。作業者を脱するにはアクセス数や反応、成約数など結果を数字で振り返る視点が必要。
マーケティングスキルがあると、「売れた・売れなかった」を感覚ではなく、理由として整理できます。これは、クライアントやチームと共通認識を持つうえで大きな助けに。
厚生労働省 job tagによると、Webマーケティングの平均年収は690万円と高い水準を保っています。全国の有効求人倍率は約0.54倍前後とライバルは多い傾向ですが、その中でも成果に貢献できる人材は、役割を任されやすく大幅な収入アップも期待できます。
マーケティング視点を持つことで、あなたは単なる制作担当ではなく、クライアントの事業を共に育てる「パートナー」へと進化できます。数字を根拠に提案できる力は、Webディレクターやマーケターへの道を開くだけでなく、AI時代においても決して価値が落ちない一生モノの武器になりますよ。
コーディングスキル
コーディングスキルは、ノーコードツールが普及した今後も引き続き評価されるスキルだと考えられます。AIが出したコードは完璧ではなく、より安全に使いやすくするためにコードを修正したりカスタマイズする必要があるからです。

実際Web制作の現場では、単にデザインを作るだけでなく、実装まで理解できる人材が求められる場面が増えています。
平均年収は570万円前後、全国の有効求人倍率が2.57倍程度と求人が比較的多い状況にある中で、実装に関与できる人材の需要は高まっています。
コーディングスキルは、Webデザインと実装をつなぐ橋渡しとしての需要があり、AIやノーコードツールだけでは補えないスキルとして活躍の幅を広げてくれるでしょう。コードの安全な修正やUIの最適化は、システム全体の品質の担保につながるため、継続案件や信頼案件につながりやすい一面も。
将来的にはテクニカルディレクターやノーコード・スペシャリストとしてキャリアを広げることも可能です。
グラフィックデザインスキル
グラフィックデザインスキルは、紙媒体やロゴなどブランド全体の世界観をつくり上げられる能力として評価され長期的に活躍しやすい傾向にあります。
グラフィックデザイナーの平均年収は480万円前後、有効求人倍率は全国平均で0.15倍程度とライバルは多い環境です。ただし、Webからグラフィックまでトータルプロデュースできるデザイナーとして打ち出すことができればあなたの価値は高まります。
クライアントにとって自社のブランド全体の価値を理解し、ビジュアルで一貫性を保てるデザイナーは、唯一無二の存在として手放せなくなりますよね。
グラフィックデザインスキルは、Webという枠を超えてブランドの価値を視覚で伝える一生モノの力になります。クライアントの想いを一番に理解し、ロゴから紙媒体まで一貫して形にできるあなたは、代えのきかないパートナーとして信頼されるはずです。アートディレクターやブランドデザイナーなど、クリエイティブの核心を担う存在として、自信を持って仕事の幅を広げていきましょう。
AI時代に重視されるスキルとは
今回紹介した4つのスキルの中でも、特にUX/UIスキルとマーケティングスキルは有効求人倍率や収入面でも高めで今後身につけたいスキルです。
一方、コーディングやグラフィックデザインスキルは今は需要がありますが、今後なくなっていく可能性もある変化しやすい領域でもあります。
AI時代に価値が高いのは、人の心理やビジネスの根幹を担うスキルです。なぜかというとAIに「人がなにを求めているか」「どんなことに悩んでいるか」といった心の奥にある心情まで深く理解することは難しいからです。

人間にしかできないことをスキルとして身につけると、AIが進化しても不安になりませんよ。
AI時代に強いのは、技術の習得以上に「人の心を動かす力」です。今回紹介したスキルの中でも、特にUX/UIデザインとマーケティングは、AI時代のキャリアマップにおいて最も価値が下がりにくい一生モノの領域と言えます。 自分に合う方向性を定め、人間にしかできない強みを一歩ずつ伸ばしていきましょう。
Webデザイナーが今後も必要とされる理由
Webデザインの需要は増えているから
AIやツールの進化である程度平均点を取れるようなデザインは出しやすくなりました。だからといってWebデザインをプロに依頼する需要がなくなったわけではありません。
むしろ成果につながる設計や改善までできる専門性の高いWebデザイナーの価値は高まっています。
以前は、Webサイトを作るだけだったWebデザイナーの仕事が、今はAIやノーコードツールを活用しながらSNSや広告も運用するという仕事に移り変わっています。
- 以前:30万円でサイト制作だけを請け負う
- 今:30万円でツールを使った制作、SNS運用、広告運用を請け負う
ノーコードツールが普及したことで、「誰にでもできる作業」の単価は下がりました。しかし、その分「あなただからできる設計や運用」の価値はかつてないほど高まっています。
マーケティング視点や専門スキルを持つWebデザイナーは、クライアントの事業を成長させるパートナーになり得ます。今後も市場で求められ続ける貴重な存在であり続けるでしょう。
AIで全て完結はできないから
AIは作業を助けてくれますが、想いや背景を汲み取ることは得意ではありません。クライアントの言葉にしきれない意図や、ユーザー心理の機微は人が補う部分です。
大切なのは、AIか人かで考えないことです。AIは優秀な部下として使い、戦略や設計に時間を使える人に価値が生まれます。

AIを使えば使うほど、人にしかできない役割がはっきりします。
たとえば、AIに指示する際も目的や前提条件を伝えたり、どのような形で出力したいかなど細かく設定することでより求めたものに近い回答をしてくれます。これは部下に指示をするときと全く同じです。まずは人間が全体像を理解して、AIに指示を落とし込まなければ、ズレた回答が出てきてしまいます。
AIを使いこなすことは、決して仕事を奪われることではありません。AIを頼もしい右腕として活かしながら、人間にしかできない役割を担えるWebデザイナーこそ、これからの時代に最も必要とされる存在ですよ。
まとめ
今回は、「Webデザイナーの仕事はなくなるのか」という不安の背景と、これから求められる役割について紹介しました。
- まずは市場の動向を知り、自分の立ち位置を整理する
- なくなるのは作業中心の仕事。設計や判断が必要な仕事は需要がある
- AIやツールの普及は脅威ではなく、役割の違いをはっきりさせるきっかけ
- 将来的なキャリアアップを目指すならUX/UIデザインスキル、マーケティングスキルを身につけるのがおすすめ
「今後も必要とされるのはどんな役割なのか」を整理するところから始めてみてください。その視点を持つだけでも、スキル選びやキャリアの考え方は、今よりずっと進めやすくなりますよ。


















「作れる人が余っている」と「必要とされていない」は、実は別の話ですよ。